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社団法人日本電気技術者協会 電気技術解説講座 文字サイズ変更ヘルプ
Presented by Electric Engineer's Association
太陽光発電システム 天野技術士事務所 天野 尚

太陽エネルギーは量が膨大で枯渇の心配が不要なエネルギーで地球上のほとんどの場所で利用可能である。この太陽光エネルギーを利用する太陽発電は、稼働部分がなくメンテナンスがほとんど不要で環境に優しいクリーンなエネルギー源として、住宅用の小規模なものから業務用の大規模システムまで普及が進んでいる。

1. 太陽電池セル

(1) 太陽電池セルの種類

太陽電池は太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換する機能をもつ最少単位であり、その材料によって、第1表に示すように分類される。

第1表 太陽電池の種類第1表 太陽電池の種類

結晶系シリコン太陽電池の中では、多結晶シリコン太陽電池が原材料の絶対量、コストの面から現在最も多く生産されている。アモルファスシリコン太陽電池はガラスなどの表面に薄膜状のアモルファスシリコンを成長させて作られ、結晶系に比べて変換効率が低いが、将来低コスト化が期待されている。化合物半導体太陽電池は複数の元素を原料としており、人工衛星などに使用されている。

(2) 発電の原理

太陽電池はシリコンなどの半導体に光が当たると電気が発生するという「光電効果」を利用したもので、その原理を第1図に示す。

第1図 太陽電池の原理第1図 太陽電池の原理

p形半導体とn形半導体の接合体に、太陽光が当たるとマイナスの電荷をもった電子とプラスの電荷をもった正孔が発生する。電子はn形半導体へ、正孔はp形半導体へ引き寄せられ光起電力が発生し、この二つの電極を結線すると電流が流れる。

(3) 等価回路

太陽電池はダイオードと光の強さに応じて発生する定電流電源Iscで表される。第2図に等価回路を示す。その他基本セルで発生した電流を端子に集める結線の直列抵抗Rs及びpn接合部の漏れ電流に起因する並列抵抗Rshが考えられる。

第2図 太陽電池セルの等価回路電気特性第2図 太陽電池セルの等価回路電気特性

等価回路から太陽電池の両端子で観測される電流Iと電圧Vとの関係は次のように表すことができる。

formula01
formula01
ここで、
q:電子電荷 formula_02formula_02
 
n:ダイオード指数 (単結晶 n = 1.5、多結晶 n = 1.0、アモルファス n = 3.0)
 
k:ボルツマン定数 formula_03formula_03
 
T:絶対温度

である。

第1項はダイオードの特性であり、Iopn接合の逆飽和電流である。

照射の強さが強く I >> V / Rshになると、第2項が無視できて、

formula04
formula04

と表される。この式をグラフ化すると第3図(a)の電圧電流特性が得られる。

第3図 太陽電池の出力特性第3図 太陽電池の出力特性

太陽光照射により光電流Iscが発生し、それに相当して電流電圧曲線が下方に移動する。太陽電池に負荷抵抗RLを接続したときの出力は、負荷点P(Vp,Ip)として表示され、図中のグレーの部分で示した面積が太陽電池電力に相当する。

一般に使用される太陽電池のI-V 曲線はこの部分の縦軸座標を反転させたものである。なお、縦軸を電力とした特性をP-V曲線という。電力が最大となるときの電圧が最大出力動作電圧Vpm、電流が最大出力動作電流Ipmである。

太陽電池は日射量や温度によって出力特性が刻一刻と変化するため、後述するパワーコンディショナでは、常に太陽電池から最大出力を取り出すために出力電力が最大となる点で動作する制御をしている。これを最大電力追従制御(MPPT: Maximum Power Point Tracking)と呼ぶ。

2. 太陽発電システムの概要

(1) 太陽電池システムの構成

太陽発電システムは住宅用を例にすると、第4図に示すように太陽電池アレイ、パワーコンディショナ、これらを接続する中継端子箱、更に配電系統側に設置する電力量計などで構成される。

第4図 住宅用太陽発電システムの構成第4図 住宅用太陽発電システムの構成

発電電力は直流であるため、これをパワーコンディショナで交流に変換し、電力会社から供給されている交流電力と併せて使用できるようにしている。

(2) 太陽発電システムの種類

太陽発電システムは連系形と独立形に大別され、更に負荷の形態(直流・交流)や蓄電池の有無などに応じて分類される。以下に代表的なシステムの形態を説明する。

maru1maru1 系統連系形システム

商用電力系統と連系し、太陽電池で発電した電気を構内の配電線に送ることのできるシステムである。逆潮流ありのシステムと逆潮流なしのシステムの二つに分けられる。

第5図 系統連系形システム第5図 系統連系形システム

逆潮流ありのシステムは発電電力に余剰が生じた場合、電力会社に買い取ってもらう制度を利用するもので、電力会社の電力系統と連系して運転する。

太陽電池出力が構内の需要に対して不足する場合は不足電力を電力会社の配電線から供給を受け、逆に太陽電池の出力に余剰が出れば電力会社の配電線へ逆潮流し売電する。現在、住宅用PVシステムで用いられている方式は、ほとんどがこの逆潮流ありのシステムである。

逆潮流なしのシステムは構内の電力需要が常にPVシステムの出力より大きく、逆潮流電力を生ずる可能性が無い場合に採用される。しかし、系統停電時の逆潮流を防止する連系保護装置が必要である。

maru2maru2 独立システム

商用電力系統と完全に分離したシステムで、太陽電池で発電した電気だけで運転するシステムである。一般の構成を第6図に示す。

第6図 独立システム第6図 独立システム

夜間や雨天時の発電電力が停止または低下の場合に備えて蓄電池が設置される。このシステムは電力会社の配電線から遠い山岳地や離島などで多く使用されている。

3. 太陽発電システムの構成機器

(1) 太陽電池モジュールと太陽電池アレイ

太陽電池モジュールは約10cm角の板状のシリコンにpn接合を形成した太陽電池セルを数十枚の集合体で耐候性のパッケージに収められている。そのうえ製品として、太陽電池モジュールには外形寸法とともに公称最大出力、公称最大出力動作電圧、公称最大出力電流などの仕様が設定されている。

太陽電池アレイはこの太陽電池モジュール複数枚を直列、並列に接続し、望みの直流電圧と発電出力が得られるように構成し、屋根や庭に設置した太陽電池全体をいう。第7図に太陽電池セル、モジュール、アレイの関係及び回路構成を示す。

第7図 太陽電池アレイ第7図 太陽電池アレイ

太陽発電システムの容量は標準太陽電池アレイ出力(太陽電池モジュールの最大出力の合計)で表される。発電出力は日射の強さや太陽電池セルの温度の影響を受けるため、日射の強さが1kW/m2で温度が25℃の標準的な条件での最大出力とされている。

太陽電池アレイは第7図(b)の電気的回路構成で示すように太陽電池モジュールの集合体で

あるストリング、逆流防止ダイオード素子、バイパスダイオード、中継箱などで構成される。ストリングは太陽電池アレイが所定の出力電圧を満足するように太陽電池モジュールを直列に接続したブロックであり、各ストリングは逆流防止素子を介して並列接続される。これは太陽電池アレイの一部が日影になった場合に、逆防止ダイオードはアレイ間の電圧アンバランスによるアレイ間の逆電流を防止する。また、太陽電池モジュールと並列のバイパスダイオードは日影の電池モジュールの保護やアレイ出力低下を押さえる働きをしている。

(2) パワーコンディショナ

パワーコンディショナは大まかには直流を交流に変換するインバータと事故などの場合に系統を保護する系統連系保護装置とで構成されている。

第8図にパワーコンディショナの構成としてブロック図をインバータ部の主回路を示す。

第8図 パワーコンディショナの構成第8図 パワーコンディショナの構成

インバータは太陽電池アレイで発電した直流電力を交流電力に変換する。

制御装置部分は電力変換部のIGBTなどのパワー素子をオン/オフ制御する。また、内部故障に対する安全装置として働く保護機能も併せもっている。

絶縁変圧器は万一の故障時に太陽電池の直流が電力会社の配電線へ流出しないようにするものである。

連系保護装置は周波数の上昇・低下の検出、過不足電圧の検出や単独運転検出など太陽発電システムが系統の保安及び電力品質確保に関する諸規定を満たすための設備である。

そのほかに天候によって変動する太陽電池の出力を出来るだけ有効に取り出すための自動運転停止機能、最大電力追従制御機能を備えているものもある。

参考文献:
  1. 「建築と太陽電池発電システム」、講習会テキスト、日本太陽エネルギー学会刊
  2. 浜川 圭弘、桑野 幸徳共著、「太陽エネルギー工学」、培風館刊


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