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社団法人日本電気技術者協会 電気技術解説講座 文字サイズ変更ヘルプ
Presented by Electric Engineer's Association
ラプラス変換とその使い方5<過渡現象編4>いろいろな波形の過渡現象 元東京電機大学短期大学教授 間邊幸三郎

 このシリーズの第5回は電気回路で扱ういろいろな波形とその過渡現象について解説する。

単位ステップ関数

 ① (1)式で定義された関数ut)を単位ステップ関数といい、図示すると第1図(a)となる。

formula001
formula001

単位ステップ関数
第1図 単位ステップ関数

 ② したがって、ut−a)は、(2)式の性質があり、そのグラフは第1図(b)のようになる。

formula002
formula002

 ③ これらの性質を応用すると、 formula003 formula003 は(3)式の関係があり、そのグラフは第1図(c)のようになる。

formula004
formula004

 ④  formula005 formula005 であるとき、 formula006 formula006 は(4)式の関係にある。図示すると第2図(a)であり、ab区間のみが単位量なので、これを単位区間関数と呼ぶことにする。

formula007
formula007

単位ステップ関数の応用
第2図 単位ステップ関数の応用

 ⑤ 正弦波形sinωtの最初の正波(第2図(b)の赤い波形)は、(5)式のように、正弦波形と単位区間関数との積で表示できる。

formula008
formula008

t推移法則

t推移法則
第3図 t推移法則(1)     第4図 t推移法則(2)

 t推移法則とは 『第3図のように時間関数 formula009 formula009 を時間的に formula010 formula010 だけ遅らせた関数 formula011 formula011 のラプラス変換は、 formula012 formula012 のラプラス変換である formula013 formula013 formula014 formula014 倍に等しい』というものである。

 いま、 formula015 formula015 とおけば、この関係は、(6−1)、(6−2)式に示す結果となり、t推移法則は(6)式で表示でき、(7)式のようにも書ける。

formula016
formula016
formula017
formula017

 また、t推移法則は(8)式で示す関係にあり(9)式が成立する。(第4図参照)。

formula018
formula018

 [注]もう一つの推移法則であるs推移法則は、(10)式の関係から(11)式のように表示される。

formula019
formula019

3. いろいろな波形とそのラプラス変換

 ① ステップ関数で、a以降の区間のみ選択した関数 formula020 formula020 のラプラス変換は、

formula021
formula021

 ② ft)のab区間のみ選択した関数 formula022 formula022 のラプラス変換は、

formula023
formula023

いろいろな波形
第5図 いろいろな波形

 ③ 方形波パルス・・・ 第5図(a)

formula024
formula024

 ④ 三角波パルス(1)・・・ 第5図(b)

formula025
formula025

 ⑤ 三角波パルス(2)・・・ 第5図(c)

formula026
formula026

 ⑥ 正弦波パルス(1)・・・ 第5図(d)

formula027
formula027

 ⑦ 正弦波パルス(2)・・・ 第5図(e)

formula028
formula028

 [別解] この波形は第5図(d)の波形より右に formula029 formula029 シフトした波形なので、t推移法則により、

formula030
formula030

 で、(35)式が求められる。

 ⑧ 正弦波パルス(3)・・・ 第5図(f)

formula031
formula031

周期波の扱い方

 第6図のように、波形 formula032 formula032 が周期Tで現れ、これが際限なく続く図のような波形(周期波)を formula033 formula033 とすれば、 formula034 formula034 のラプラス変換は次式となる。

周期波
第6図 周期波

formula035
formula035

 したがって、第7図に示す波形のラプラス変換は次のように求められる。

各種の周期波
第7図 各種の周期波

 ① 方形波・・・第7図(a)

formula036
formula036

 ② 三角波・・・第7図(b)

formula037
formula037

 ③ 全波整流波・・・第7図(c)

formula038
formula038

 ④ 半波整流波・・・第7図(d)

formula039
formula039

 問題 第8図に示す各波形をラプラス変換せよ。ただし、(d)図以降は周期波とする。
                                        答の巻末

第8図
第8図

5.方形波回路の過渡現象

 ① RL直列回路

 第9図(a)のRL直列回路において、同図(b)に示すような起電力e(t)を印加した時、回路に流れる電流を求めよ。

RL直列回路
第9図 RL直列回路

formula040
formula040
formula041
formula041
formula042
formula042
formula043
formula043
formula044
formula044
formula045
formula045

 求める電流iのグラフは第10図となる。

RL直列回路の電流
第10図 RL直列回路の電流

 ② RC直列回路

 第11図(a)のRC直列回路において、同図(b)に示すような起電力e(t)を印加した時、回路に流れる電流を求めよ。

RC直列回路
第11図 RC直列回路

formula046
formula046
formula047
formula047
formula048
formula048
formula049
formula049
formula050
formula050
formula051
formula051

 求める電流iのグラフは第12図となる。

RC直列回路の電流
第12図 RC直列回路の電流

6.微分回路と積分回路

 ① 微分回路

 第13図(a)の回路で、 formula052 formula052 として同図(b)のような方形波(周期波)を印加した時、R端の電圧 formula053 formula053 に注目すると、両者の関係は、

微分回路
第13図 微分回路

formula054
formula054

 もし、上式で     formula055 formula055   の関係にあれば、

formula056
formula056

となる。第13図(c)は formula057 formula057 一周期の波形で、時定数を小さくするにつれてロからイの方に移り、(73)式を実現する『出力電圧は入力電圧の微分値に比例した電圧』が得られる。このような機能をもった回路を微分回路という。第13図(d)には同図(b)の周期波 formula058 formula058 対する formula059 formula059 の波形を示す。

 ② 積分回路

 第14図(a)の回路において、 formula060 formula060 として図(b)のような方形波(周期波)を印加した時、C端の電圧 formula061 formula061 に注目すると、両者の関係は、

積分回路
第14図 積分回路

formula062
formula062

 もし、上式で     formula063 formula063   の関係にあれば、

formula064
formula064

となる。第14図(c)は formula065 formula065 一周期の波形で、時定数を大きくするにつれてロからイの方に移り、(80)式を実現する『出力電圧は入力電圧の積分値に比例した電圧』が得られる状態になる。このような機能をもった回路を積分回路という。第14図(d)には時定数を充分大きくした場合の、同図(b)の周期波 formula066 formula066 に対する formula067 formula067 の波形を示す。

【付表】
付表

【問題の答】

 (a) formula068 formula068

 (b) formula069 formula069

 (c) formula070 formula070

 (d) formula071 formula071

 (e) formula072 formula072

 (f) formula073 formula073

 (g) formula074 formula074

 (h) formula075 formula075

 (i)
formula076 formula076



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